林業の活動として
昨年の7月から現在所属している地域おこし協力隊に入隊して1年が経ちました。
やっとという思いと、もうという思いが入り混じった気分ですね。
ただ、先ずは自身と家族に大きな事故や事件、怪我もなく過ごせた事に感謝です。
1年前に林業を志したはいいもの、何の技術も知識もない自分が本当に林業従事者として活動できるのか、生計を立てられるのかと半ば不安な気持ちでこの街の協力隊として活動し始めました。
そしてこれはある種想定していた通りでしたが、荷物を担いで山を歩いて木を切り倒すって仕事はやっぱり体力的に大変で、そしてこれは思っても見なかった事ですが伐木は精神的な負担もあるんだと感じたりと大変な事が多かったとは感じます。
精神的な負担と言えば、そしてそもそもですがチェーンソーや燃料等それなりの重さが有る荷物を担いで斜面を歩くこと自体が、意外と頭の処理能力を使う事だったりするんですよね。他に間伐の場合は伐倒方向だとか木を伐る前段階でも色々頭を使う事もありますし、伐倒したらしたで造材する時にどのサイズで玉切ったら一番価値が高いかなんかも考えたりと、林業は本当に色々なところで頭を使う場面が多いとこの1年間で気付かされました。
その他にも近くに電線や光ケーブルがあればそれを切らない様にだとか、下に道路や建物が有ればそこに影響が出ない様に倒したりたんころの処理をしないといけないだとか。こういった事も林業を始めるまでは考えもしなかった事象なので、やってみて初めて気づいた事ですよね。
実際に自分も下方伐倒した木が思いの外に滑って行ってしまって下にある道路まで行ってしまったり、たんころがこれまた下の道路まで転がって行ってしまって焦った事もありました。その時はいずれも道路に通行は無かったので何の影響も無かった事は幸いでしたが、これがもしという事が有れば大事故に繋がっていた訳で、身を以て危険性や可能性についてを学ばせてもらいました。
身を以て体験というところでは、初期の頃に林内作業車を扱っていたら丁度慣れてきた頃ですよね、狭い場所で方向転換をしようとした時に林内作業車と立木に足が挟まれて数日間普通に歩く事が出来なかったなんて事もありました。今思えばクラッチやブレーキがどうだとか操作の面だったり、しっかり周りを見て落ち着いて判断するとかメンタル面や安全意識の事を考えられますが、当時は多少の自惚れもあっていざそういった場面に遭遇したら焦ってびっくりして判断できなかったんですよね。
幸い今は違和感も何もなく普通に歩けていますが、これも重大インシデントですよね。
そしてこれは自分ではなく同僚の隊員の話ですが、斜面でユニックにバックホーで積み込み中に色々な事が重なってユニックが動いてしまって、下に停めていた自分の車にぶつかるという事故が遭ったり、下方伐倒した木が滑って行ってしまって電話線を切ってしまったり、住宅脇で特殊伐採中に電線や光ケーブルを切ってしまいそうになったり(ぶつかりはしたものの、断線まではしていない・・・はず)、移動中に交通事故を起こしたりと色々な事件・事故がありました。そういった意味では協力隊全体としてけっこう役場に迷惑をかけていて大変申し訳ない気持ちです。
協力隊の実技活動以外の部分では、一年目に限れば林業大学校へ行く事も多かったです。
それは林業で活きる資格の取得は勿論ですが、個人的にはそれ以外の部分でも活用させてもらう事が多かったです。それは何かというと『短期過程リカレントコース』というシステムです。一般の大学なんかでも大学生以外の一般人が受講できるリカレント講座?コース?がありますが、それと同じ内容のもので、林大生以外でも受講可能な特別講義があって、その受講で林大へ行く事が多かったです。
受講した講義内容も森林に関する事を色々なので、林業機械や最新のスマート林業に関する事といった直接関わる事から、森林に関する公共政策や総論・文化といった林業・森林全体に関する内容だったりと多岐に渡っています。
この辺りの知識に関する事は現場では軽んじられる事も多い様に感じますが個人的には大事だと思っていて、現場とは違う意味で知らないと損をする事もあるんですよね。現場で教えてくれるおんちゃん方は皆さん技術に関しては文句なしでしかも丁寧に教えて下さりますし、知識の点においてもご自身の経験則や言い伝えなんかも惜しみなく教えて下さるんですが、時にはもう少しロジックで学びたいと思った時やスマート林業といった分野の技術を知りたいといった事に関しては足りないところがあるので、そういったところの補足やただの好奇心なんかで林業大学のリカレントには大変お世話になりました。
そして林大に関して追加で言及しますと、1年目は決まった資格を大体皆さん取得されるのでそうなると何回か講義が一緒になる人も当然いる訳で、顔見知りになって話す事もあるんですよね。そうすれば自分たちと違う地域の協力隊の人と知り合いになったりして人の輪が次第に広がっていったりするメリットもあったりするのが良かったりします。
そして林大以外の場所では、色々な研修や講習にも参加しました。
ツリークライミング(MRS1)資格取得の為に県外へ受講をしに行った事もありましたし、県外の自伐林家の方に来ていただいて自伐林家の実際について色々学ばせて頂く事もありました。
本当にこうやって色々と体験させてもらえたのは、役場の協力や理解が有っての事でもあるので感謝しかないです。
地域おこし協力隊として
そして地域おこし協力隊なので地域を起こす活動についても記さないといけないのかと思っているのですが、実はそんなに地域の活動には深くはかかわってこなかったのが1年目の感想です。
メディアに出ている地域おこし協力隊の方の活動を見ていると、深く地域に関わって何かやっている(もしくはやっていこうとしている)という方しかいないので、地域おこし協力隊に入ったらそういう風にならないといけないって思ってしまう方もいるかもしれませんが、自分に関しては地域にそこまで深入りしなくても活動も生活も出来ています。
実際の地域への関わり方としては、2か月に1回開催される地区会に参加したり、春秋にある地区清掃に参加したりといった事です。あとはせいぜいお祭りに行ったりなのかぁといった感じです。
もちろん住む地域によってはもっと深いかかわりを求められる所も有りますが、私自身の状況としてはこんな状況です。
ただ、やはり地域おこし協力隊としてきている以上、何かしら地域を盛り上げていく活動はしたいと私も思っており、その為の考えというのもいくつかあるので、2年目になった今からそれらをぼちぼち実行に移していこうとしているところではあります。
あとがき
以上が私の地域おこし協力隊1年目の活動です。
皆さんが思い描いているような活動をしているかはわからないですし、恐らく出来ていないのではないかと思いますが、むしろそこが重要なんじゃないかと自分は考えています。
地域おこし協力隊になったからには1年目から直ぐに地域の溶け込んで、何かをやっていかないといけないみたいな思想がどうにも有る様に感じているんですが、そんなに焦らなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。何をしたいのかも分からずに焦って色々と手を出して却ってぐちゃぐちゃになっちゃうくらいなら、色々と手を出すにしても何かしらの目的を持ってしっかり取り組んでいくべきだと自分は考えます。まぁこれは地域おこし協力隊に限らずですけど。
そんな訳で2年目は1年目の経験や体験を基に、より具体性を持った行動を行っていきたいと考えております。
では、これからの1年もご安全に!
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