林業と金利の関係

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日本銀行が今年の3月18日~19日に行われた金融政策金利会合でマイナス金利政策を撤廃したのは記憶に新しいですが、7月30日と31日に行われた会合でも短期金利について更なる追加利上げを行う事が発表されました。この影響によって円相場であったり、日経平均株価といった株価指数も非常に大きな影響を受けている状況にありますが、はたして林業にとって利上げはどんな影響があるのか考えてみたいと思います。

金利上昇のメリット

まず一般的な金利上昇(利上げ)のメリットについてGeminiに訊いてみました(笑)。

①インフレ抑制

金利上昇は、一般的に消費や投資を抑制し、経済活動を冷やす効果があります。これにより、物価上昇のペースを緩やかにする、つまりインフレを抑制する効果が期待できます。by gemini

最近の日本は賃金や物価の上昇が目立っており、長年の目標としていた物価上昇率2%を上回るペースだったので、その勢いに『待った!』を掛ける必要は確かにありました。

②貯蓄の促進

金利上昇は、預金などの貯蓄に魅力を与えます。人々は消費よりも貯蓄に回す傾向が強くなり、結果的に家計の安定化につながる可能性があります。

これに関しては元来日本は貯蓄信仰が根強い国なので、金利云々はあまり関係なさそうな気はします。ただ、定期預金の金利が昨年かその辺りで上がった時は、全国的にも話題になったのは記憶に新しいです。

③通貨価値の安定

金利上昇は、その国の通貨に対する需要を高める傾向があります。これは、通貨の価値を安定させる効果につながる可能性があります。

まさにこの影響で7月11日に1ドル161円を付けていた為替相場が、8月2日には146円と急激な円高に振れています(146円が果たして円高なのかという議論についてはここでは脇に置きます)。世界がリセッション警戒で利下げを行う(若しくは伺う)中で、日本だけが利上げを行うのですから、それだけ日本経済の強さを証明しているという事でもあるのでしょう。

金利上昇のデメリット

続いてはデメリットも書き出してみます。これもGeminiに協力してもらいました(笑)。

①経済成長の鈍化

金利上昇は、企業の借入コストを増やし、投資意欲を減退させます。結果として、設備投資や雇用が減り、経済成長が鈍化することが懸念されます。

長く続くデフレ経済からの脱却を目指すべく世界でも例を見ないマイナス金利政策が2016年に導入されたわけですが、その政策の中で日本企業は銀行から借り入れを行いながら設備投資を積極的に行ってきました。そんな政策が2023年まで続いた訳で、マイナス金利に慣れた企業が果たして金利が上昇しうる環境で、今後以前と同じような設備投資を行うかは正直不透明ではありますよね。

②住宅ローン負債の増大

変動金利の住宅ローンを利用している人にとっては、金利上昇によって返済額が増加し、家計への負担が大きくなります。

これも以前マイナス金利政策が終わりを告げた時に話題になっていましたが、マイナス金利政策が長く続くと思って変動金利で住宅ローンを組む家庭が増えていた様ですが、その方々にとっては死活問題ですよね。

③企業倒産のリスクの増加

高い金利は、特に借入が多い中小企業にとっては大きな負担となり、経営を圧迫する可能性があります。結果として、企業倒産のリスクが増加する可能性があります。

これは①と似通ったところになりますが、体力の少ない中小企業にとっては金利上昇はリスクでしかないですよね。

林業と金利について

さて、一般的な金利上昇についてのメリット・デメリットを書き出したところで、それでは林業にはどれだけ影響があるのかを考えてみます。

メリットで挙げた項目については、正直殆ど恩恵がないと考えます。

円高に関してはメリットとも言えますが、とは言えデメリットもあるので、一概にメリットとも言えないところが悩ましいです。

そういった意味では、現状としてデメリットの影響を受ける箇所が多いのではないかと考えます。

特に金利上昇に伴う借り入れコストの増大というのは、設備投資として大型の林業機械を入れている事業体や組合にとっては勿論、小規模林業家にとっても頭の痛い問題ではないでしょうか。

ただでさえ林業機械というのは高価なものが多く新車だと1,000万円以上する事もザラなのですが、それを導入しないと作業の効率化や安全化を図るのが難しいという側面があるので今更そこを止める訳にもいかないですから、そうなると借り入れをしないわけにもいかないというところで、金利が掛かる分そこの負担が経営にどれだけ負担を与えるかというところですね。

勿論今の金利は1%もないのでPFに大きな影響を与える事はないでしょうし、つい最近日銀の内田副総裁も金融市場が不安定な状況では利上げをしないと、先日の植田総裁の発言を見越した発言をして市場の安定化を求める発言をされていたので、金利上昇はそこまで急激なものにはならないと思いますが。

そんな訳で金利上昇が林業に与える影響は個人的見解として軽微なデメリットと見ますが実際はどうなんでしょうね。

林業と為替相場について

余談になりますが、金利上昇と併せて大幅に円高に振れた現象もあるので、そこも少しだけ触れたいと思います。

7月11日には162円に迫る位置だったドル円為替相場ですが、そこから1か月も経たない8月5日には141円を付けるといった急激なボラティリティに見舞われました。そして8月8日現在は146円付近にあります。

まぁ146円でも1年前に比べたら4円程円安なので、そこまで円高とも全く思わないところですが(笑)。

そして金利よりはこの為替相場の方が林業に与える影響が大きいとも感じます。

〇林業で考える円高のメリット

・輸入品を(円安時より)安価で購入できる

林業機械は結構海外の製品も多く、大型機械なんかは特に海外製品が多いんじゃないでしょうか。そしてそれらやチェーンソー等を動かす燃料も海外からの輸入に頼っているので、それらのランニングコストを円高だと抑えられるというのは経営面では無視できないと思います。

〇円高のデメリット

・輸出の際の利益が減る

近年日本は林産物の輸出に力を入れており、年々輸出額も増えています。

上は林野庁のHPから引っ張ってきたグラフになります。

因みにこちらも同様にHPから引っ張ってきた輸入額のグラフです。

同年比較が出来る2020年度の数字は以下。

2020年の輸出額は約360億円。

2020年の輸入額は約9,440億円。

こうやって比較してみると、いかに日本の木材輸出入は貿易赤字かが伝わりますね。

そうなると、輸入額に対して輸出額は約4%程度の金額にしかならないないので、円高の方がメリットがありますね。

困ったデメリットが無くなってしまった(笑)。

そうなると林業としては円高の方がメリットは大きいっぽいですね。

あとがき

本当にこの1か月程度で日本に限りますが、市場環境が一変しました。

ブラックマンデーを超える過去最大の下落幅が有れば、その翌日にはこれまた過去最大の上昇を見せました。勿論これはどれか一つの原因がある訳ではなく、半導体であったり地政学であったり、金利問題であったりと様々な理由が複合的に絡み合って、この異常な相場を作り上げている訳です。

そして林業もその影響からは免れられないところで、今後の日本に限らず世界の経済動向というのもしっかり注視していかないといけないと思います。

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