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林業会計という単語について皆さんは耳馴染みあるでしょうか?私は初めて聞きました。あ、勿論会計という作業自体については理解はしています。ただ、この単語自体は初めて聞いたというところですね(笑)。
そして今回はこの林業会計についてもりとみず基金が専門家の方を招いて研修会を開かれるという事だったので、3日間その研修に参加してきました。
講師は鹿児島総合研究所の新永氏。氏は林業事業体、製材所等を経験した後に起業して今に至る様ですが、鹿児島大学農学部、岐阜や奈良の林業学校での非常勤講師をされているそうです。
鹿児島総合研究所(https://www.kagoshima-ri.org/)
自己紹介とそこについての質疑応答を行った後に研修へと入っていくわけですが、最初は林業(事業体)がおかれている現況についてのお話です。そこについては正直目新しい内容は個人的にはなかったので割愛して、次の内容へ。
ここからが本研修の主題になるのですが、参加者を全3班に分けてそれぞれに配られた林業機械カードを用いて作業システムを構築します。
これは林業の作業をシンプルに4つの工程に分けたもので、それぞれに林業機械を当てはめて生産量だったりコストやボトルネックを遊びながら調査するといったものです。勿論林業の実際はもっと細かく仕訳けられていたり簡単でもないのですが、分かり易く作業工程を理解するにはけっこう良く出来たカードゲームだなぁーってやりながら感じていました(笑)。
そしてこれを各班毎に討論しながらどの作業工程で事業を進めるかを決めていき、作業工程が決まったらそれを基に1日当たりの労働生産性を計算して併せて年間の生産量も出します。そして使用する機械の減価償却費であったり現場で使役する人間の人件費、企業が活動する為の販管費というものを講師が用意したシートと数字を利用して計算し、年間の事業計画として目標作業量や損益分岐点の算出を行うという事をしました。これが1日目の話。
2日目は鹿児島大学の牧野助教授を講師に、集約化についての講義と作業をを行いました。講義内容については集約化の意義であったり、それをする為に必要なリソースと実際の進め方等についてで、講義が終わった後は実際に集約化を体験してみましょうという事で、講師が用意した林小班図とそれにリンクしたカードを使って集約化に挑みました。
先ずは自分達が先に立てた事業計画を基に、それを単純に四半期で割った金額を達成できる作業量を算出し、その作業量を確保できるだけの土地をピックアップをして、その土地の所有者と現況を調査します。実際にはこの所有者特定というのは非常に大変で根気の試される作業ですが、これはゲームであるのでその辺りの必要な情報(所有者名や相続人、住所等)は既に用意されて土地に紐づけされているので大変楽でした😊
そしてその紐づけされた資料を基に今度は所有者との交渉作業に入りますが、これも実際にやるとなると非常に大変な業務なところをやはりゲームというところで簡素化されています。どうやったかというとアプローチ方法別にサイコロが用意されており(郵送、電話、訪問)、それぞれの出目の指示に従って隣の班へ交渉に出掛けるという感じです(元データは全班同一)。細かいルールも色々とありましたが、そこは割愛させていただきます😅
交渉の結果取得できた土地、出来なかった土地というのが出てくるのですが、今回は取り敢えず取得できた土地で施業を行い、そこで得た収入と先に出していた四半期別の支出を合算して第一四半期での収支を算出し、損益計算書(P/L)とバランスシート(B/C)の作成を行いました。
続いてはその収支を基に、第一四半期で利益のあったところは更なる利益拡大の為に、利益がなかったところは改善できるように再び土地の集約化等をシミュレートしていき、第二四半期の決算まで持っていきます。そして最終的には第一と第二を合算した半期決算を出すところまでやり、その結果を見て各班各個人で意見を出すところを3日目の午後に行い、3日間が終了という感じです。
あとがき
今回は今までやってきた林業の講義や研修とはちょっと毛色の違う、それでいてある意味一番大事かもしれない会計?経営?についての講義を受講してきました。
個人事業主でやっていくに当たりB/CやP/Lを作成する是非というか、そこまでやらなくてもいいんじゃない?って意見もあると思いますが、個人事業主の様な小さい経営体の方が資本の透明化をする事によるメリットはあるんじゃないかと考える節が自分としてはあるのと、こういった会計の話というのはなかなか諸先輩方から教えてもらう事の出来ない課題の一つとしてあり、困ったと思っていたところも自身の背景としてあったので、今回の講習については参加して勉強になるところが多数ありました。
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