きっかけとか
皆さんは森林審議会をご存知でしょうか?私は知人に教えてもらうまで存在すら知りませんでした😅ではどうやってその組織を知ったのかというと、現在私が参加している『高知森林インストラクター講習』の受講仲間の人からのアナウンスで知る事が出来ました。どういう事を話し合うのかもさっぱりわからないので役場の人に訊いたところ、その人もわからないという事で、なんなら傍聴してきて中身を教えてほしい言われた事から参加の運びとなりました。
さてそもそも森林審議会はどういう組織なのかというと森林法の68条(設置及び所掌事務)に『都道府県に都道府県森林審議会を置く』と定められており、それに則って設置された組織です。全員が森林に対して何かしらの知識を有しており、任命は都道府県知事だそうです。では実際の構成人員はどうなっているのかというと木材協会の会長、大学教授、林業クラブ会長、山林協会理事といった如何にもなメンバーの他にも森林ボランティアやインストラクターも審議会委員として参加していました。
そしてそのメンバーでどんな事を審議するのかというと、これも法令で定められており
森林法でいうと以下になります
・地域森林計画の樹立及び変更(第6条第3項)
・民有林における開発行為の許可(第10条の2第6項)
・保有林の指定及び解除(第25条の2第3項、第26条の2第3項)
この他にも森林病害虫等防除法、木材の安定供給の確保に関する特別措置法といったところも、この審議会の議案になる様です。
審議会の流れ
それでは実際の審議会の流れを書き出していきます。
1.開会(13:30)
2.林業振興・環境部長挨拶
3.審議会委員紹介
4.職員紹介
5.議事録署名委員の選出
6.議事
(1)高知地域森林計画の樹立(案)について
(2)安芸地域森林計画の変更(案)について
(3)嶺北仁淀域森林計画の変更(案)について
(4)四万十川地域森林計画の変更(案)について
(5)報告等
7.閉会(15:30)
以上の流れで審議会は進んで行きました。
1~5については特記すべきことはな~んにもないです(笑)。挨拶の内容もさっぱり覚えていなければ、紹介についても目立つ発言をしている人はいませんので。参加職員については高知県庁の関係部署から役職付きの人が参加しており、質疑応答では該当部署の人が都度しっかり答弁していたのでそこは流石だなとは感じました。
6.の議事については県内4つの地域の森林計画の樹立であったり変更であったりの資料説明がありました。が、ハッキリ言ってこの時間内でこれら一つ一つを精査するのは現実的には不可能である事から、概略的な説明を受けてそれを承認という感じで議事録は作成されるのかなと思います。というのも、今回の4つの森林計画について説明があったのは樹立だった高知エリアだけで(それも資料読みのみ)、その他の変更があったエリアについては説明すら無かったので。
その後はその他の内容についての話し合いが行われました。
そこでどういった事を話し合ったかですが、例えば木材の市況の話ですね。これは国内を取り巻く木材市況については厳しいという話でしたが、米国では状況が変わってハリケーンの影響で2×4の建築用材が足りていないという話も上がっていたので(調べてみると11月に関しては確かに戸建てに関しては前月比で6.4%増でしたが、集合住宅では23%減で全体では前月比1.8%減の様です)、林業県である高知県も木材輸出(特に原木での中国輸出ではなく、製材での米国輸出)というのは県全体での取り組みとして捉えても良いと思います。
他には林道の話も出ていました。これは環境省の方が林道はどういう基準で造っているのか?そして林業が衰退している中、従来の在り方で新たに開設するのはどうなのだろうか、林道の在り方の見直しというものも必要な時期になっているのでは?という質問がありました。それに対しては、新規で造る場合は山の地形や環境面を配慮しながら造っていると、そして林道は林業という産業にとっては血管みたいなもので非常に大事なものであり、生活道路という側面もあるので地域社会には欠かせない大事な道具だと話されていました。他にも今の時代風に言えば生物多様性の面でも役立っているという意見もありました。
あとは今後増えていく大径材の活用法(現在は大径材は製材所のキャパの問題もあり、安い価格で取引されているみたいです)についての話や、林業の賃金は低いっていう話、労働災害についての話なんかも話題に上がってました。
ここで一旦休憩を挟みます。
休憩後は最後の議題『林地開発許可』についての話です。(因みに最初に貰った資料的には(5)報告等に被る事になるんでしょうね)
この林地開発許可も原則(森林法第10条の2第6条によるもの)として森林審議会で意見の聴取を行う事とされているみたいですが、現実的に大小全てを諮る訳にもいかないので、意見の聴取を要しない基準も定められている様です。それは『林地開発許可制度に係る個別に森林審議会の意見を聴取しない基準』というものが定められており以下の様に決まっているそうです。
第2条 個別に森林審議会の意見を聴取を要しない基準は、以下のとおりとする。
1.新規許可案件については、開発に係る森林面積が10ヘクタール未満の開発行為であり、特に技術的、専門的判断を要しないものであること。
2.変更許可案件については、変更部分の開発に係る森林面積の増加が10ヘクタール未満の開発行為であり、特に技術的、専門的判断を要しないものであること。
以上の要件を満たしていれば審議会に諮らずに手続きを進められるそうです。(勿論この基準を満たしていても、知事が特に必要と認める場合は森林審議会の意見を聴取する事が出来るそうです)
そして第2条の基準に基づき許可処分を行った事案については、事後に森林審議会へ報告する事とあるので、それに基づいて報告された林地開発許可一覧を眺めて話し合いがまた行われます。その資料を見て林地開発ってこういうのがあるんだーと思う次第です。他には保安林解除の報告もあります。
そしてここまでやって森林審議会の内容としては以上となり、審議会は閉会となります。
あとがき
つい最近まで存在すら知らなかった森林審議会ですが、こんな風に議事が進行していました。そしてどういう組織なのかというのを大まかでも知る事が出来ました。
林業の川上から川下の業種の方が参加しており、その他にも山林所有者や環境に係る部署の人、大学講師や森林インストラクター&ボランティアといった多岐に渡るステークホルダーが参加した実態のある組織というのは珍しい気がしますし、凄く有用に感じました。
ただ、それをもっと上手く有効活用出来れば良いなとも思いますね。時間の制約があるので仕方ない部分もありますが、一つのテーマに対して深堀をする事が難しいんですよね。これだけの専門家が揃うなら(委員だけではなく県庁参加者含め)、毎回深堀テーマを決めてそれを話し合うって事をしても面白そうだと思ったのですが。
あとは、傍聴席の他にも記者席が用意されていましたが、記者が来なかった事も意外でした(笑)。だって席が用意されているなら来るもんだと思うじゃないですか!でも来なかったんですよね。まぁ議事の内容的に面白い記事にするのは難しいと思いますけど、ちょっとだけなんだかなぁという気分になったのも事実です。
そんな訳で今回参加した感想としては、知らない事を知る事が出来たので面白かったというのが感想です。ただ、傍聴者は意見を言える訳でもなく本当に後方から傍聴しているだけなので、そういうのが苦手な人は参加しても面白くないと思います。あと、現場に係る議案はほぼ一切なかったので(今回は)、そういう立場の人が参加してもあんまり意味ないのかな?と思います。
じゃあどういう立場の人が参加すると良いのかというと、それは全くわかりません(笑)。きっかけは何であれ興味を持ったら参加してみても良いかもしれません。スーツの人が多いですが、そうじゃない人もいたので(傍聴者には)、服装も清潔感がある服装なら問題なく入場できると思います。
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