何もまとまっていない考えをつらつらと書いた話
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『「激怒しかありません」宮崎で相次ぐ山林無断伐採の実態 -被害者の悲痛な叫び・伐採業者は「盗伐ではなく誤伐」と主張-』
<https://news.yahoo.co.jp/articles/bdecd1fb875fa20b7e0b707bd483d85f40d5da02>
こんなニュースを見かけました。
国産の木材価格は長らく低迷していましたが〇年を機に徐々に持ち直した傾向にあり、その流れの中でcovid-19禍の頃に発生したウッドショックの影響で木材価格が跳ね上がりました。今はその頃に比べたら値は落ち着いていて、まぁウッドショック以前の価格に戻ってきています。

(ここには出ていないですが、個人的にはcovid-19以降は特に全てのものの価格が上がっている中で、何故木材はほぼ戻っているのかという方が気になりますし問題だと思っていますが、そこは今のこの話とはちょっと違うので避けときます)
とは言え、価格自体は一時期よりは(ちょっとでも)良くなってきている訳で、これまでは大して見向きもされていなかった木材というものの価値が見直されてきた結果、こういった盗伐というものが行われる様になってきたんじゃないかと考えます。
実際白昼堂々と作業をやっていても誰も気付かないと思います。里に近いところであれば山主(若しくは山主の知人)が気付く事もあるでしょうが、奥山だとまぁ先ず気付かないです。しかも仮に現場が里に近いところだったとしても、山主(もしくはその親戚・知人)が近隣に不在であったり、山主と山の近くに住んでいる親戚・知人が疎遠になっており連絡先がわからない事から連絡そのものが出来ないので確認する事が出来ないという事も往々にしてあります。
まぁそれでも持ち主がはっきりわかっているのならまだマシです。持ち主不明の山林もけっこう多いみたいです。集約化・団地化の為に意向調査をしているという人の話を聞いても、連絡が付くだけまだマシ、連絡が全くつかないというのもザラという話です。
じゃあどうすれば良いのか。
これもなかなか難しい話ですが、先ずは食品の様にトレーサビリティ制度を充実させるしかないと思います。一応林業にも『FSC認証』と『SGEC認証』という制度があり、それぞれが木材の出生を証明する制度になっているのですが如何せん普及率が低く、日本のFSC認証の認証面積は42万haでSGECは221万haとなっていますが、2つを足しても国土面積に占める割合が約10%(2023年時点で)という状況です。増加傾向にあるとはいえ、まだまだですね。そしてその認証を受けた伐採地のものしか市場は受け取らないし、売らない。勿論買い手の方も購入しないっていう風にするしかないんでしょうね。製材された商品もそういった認証がない商品は市場に流通させない、建材等として使用しないっていう風にするしかないんでしょうね。
ただ、その為には課題も多すぎるんですよね。先ずはそういった認証の取得手続きは誰がやるのか。こういったものを山主でやりたがる人は、そもそも林業や木材に対して深い造詣を持った人なので既にやっているでしょう。ここで問題になるのは山に興味のない山主や、そもそも山を持っている事を知らない山主が対象でしょう。
取り敢えず山を持っている山主に対しては放置です、時間がかかりすぎます。
じゃあ山に興味のない山主。これは山主にやってもらうよりも、伐採業者がその認証作業を代行する事になるんでしょうけど(そもそも代行できるのかも私は知りませんが)、ただでさえ面倒な集約化の手続きにプラスしてこの作業をするのは業者としてはやりたくないですよね。しかも認証を受けたところで、現在のところはなんのメリットも無い。その分材価が上がるのならともかく、そういった事はないから、そりゃあやりたくないですよね。ただの負担ですもん。
でも、世界的にこういった盗伐に対する視線が厳しくなっているもの確かで、欧州では認証がなければ取り扱えないなんてところもあったはずです。だからいずれは法で規制してやるしかないんでしょうけど、その為にはそもそも山の所有者や境界を確定しなければ話にならないんですよね。とにかくやらなければならない面倒な事が山盛りで、その割には割けるリソースも少なければ、やったところでのメリットが無いという状況で、ちょっと手遅れなんじゃないのと思わなくもないです。
他には例えば開発現場で出た伐採木はどうするのかという問題もあります。現状として盗伐された木材はこういった木材を扱う市場に流れていますが、そこに対する規制はどうするの?という話になりますが、まぁぶっちゃけ規制はできないですよ。そこをいちいち規制していたら、その市場を適切に利用している木材業者が迷惑を被るだけです。それにそもそも仮に皆伐や間伐の現場が全て認証出来たとしても、住宅地や工業団地の造成で発生した伐採木を認証するのは難しいでしょう。
あと、誤伐について。
自分らなんかは伐倒する時は誤伐を防ぐために境界付近は手を着けずに何メートルか離れたところから伐倒しますから、基本的には誤伐なんかはあり得ないんですよね。やっぱり間違って伐ったら賠償問題になるのでそれは避けたいですから。
一般的にはそれくらい誤伐には気を付けるので、数㎥ならともかく500㎥の誤伐なんて意図的以外の何物でもないですよね(笑)。範囲的には1haかそれ以上の広さの範囲を皆伐する訳ですから。
ただ、当然ですけど盗伐は良くないです。
だからそこに対するリアクションは必ず取らなければならないのですが、どこからとらなければならないのか、何をしたらいいのかが全くわからないと言うのが現状なのですよね。しかし木材輸出という観点からは無視する訳にもいかない問題ですし、しっかり考えて取り組んでいかなければならない問題であるのは確かです。

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