経木が出来るまで

事業
260218110351613

令和の時代に脈々と受け継がれる昭和の風景

本文

<経木の研修に行ってきました>の続き

これまで経木についてぼちぼち書いてきましたが、そもそも経木がどんな製造過程を経て完成しているのか知らない人も多いと思うので、ここで順を追って一つずつ説明していこうかと思います。区分けや過程の名称については個人の勝手で呼んだり分けているので適切ではないと思いますが、そこはご容赦下さい。

①玉切り

まさか経木の製造過程でチェーンソーの出番があるとは想像もしていませんでした

この過程は山から搬出されてきた材を節を避けて適切な長さに切っていく過程です。ここで大事なのはしっかり節を避けて、適切な長さに切っていく事です。

玉切りされた材

玉切りされた材は次工程である帯鋸付近にはい積みされます。因みにここで切り分けられた節部分はどうなるのかというと、ボイラーで燃やす燃料になります。

②帯鋸

帯鋸で材を切っていく晋也さん

この過程では丸い材を機械で削れるように四角くしていきます。

上の丸太がこうなる

帯鋸で切断された材は上の写真の様に四角い材になります。ただ、全てが全て四角くなるわけではなく、角の部分が曲面になっているものも多いので、そういった材はもう1過程必要になります。

四角い材から切り離された外側の部分

ちなみに上の写真は四角い材の外側部分ですが、この部分もちゃんと経木の部材として活用されます。どうするのかというと、もう一度帯鋸を使って形を整えられます。

整えられた外側部分

一番厚みのある部分を中心に外側を切り落として上の写真の様な形に整えます。なお、この木の皮を切り落とす時は帯鋸の刃すれすれを触る事もあるので、自分の手指を切り落とさない様に細心の注意を払います。何回見てもこの作業はドキドキしました。

帯鋸で切断されて製品化されない部分を束にしたもの

製品化が不可の部分に関してはこの様に束にされたあと暫く乾燥させて、薪ストーブの燃料にすると仰られてました。

そしてわかりにくいですが木の皮が付いているので、この木の皮を削り落とす工程が必要になります。

使用道具と削り落とされた木の皮

どうやって木の皮を落とすのかというと、両側に取っ手が付いた刃物で削り落とします。

作業風景

写真にある様に、材を体で押さえて刃物を上から下に下ろすという単純作業です。ただ、これを一日100回以上繰り返しやるとけっこうな重労働で、汗はかくし腰も痛くなります。

この刃物自体は経木専用という訳ではなく、元々は樽かなにかの製造で使われていたものだと仰られてました。経木の製造道具はこれに限らず他で使われている道具を流用している場合が多いです。先の帯鋸も同様です。

そしてここで出た皮部分も例外なく活用されます。この部分も乾燥させてボイラーの燃料にします。丸太や薪に比べて薄く小さい分燃えやすいので、火を1から起こす時には特に活きます。

③丸鋸

丸鋸を使った作業風景

帯鋸である程度形を決めたら、今度は丸鋸で材の両側を切り落とします。つまりこの過程で最終的な材の長さが決まります。

この過程で気を付ける事は、良くない木目や節があった場合にこの過程でしっかりと切り落として処理をする事になります。それをしなければ削りの段階で良い木目が出なかったり、固い部分を削って刃こぼれを起こしてしまう恐れがあるからです。

④プレーナー加工

作業風景

長さを整えたのなら今度は平面加工です。帯鋸で切断したままの断面は粗いままなので、これをプレーナーを利用して滑らかにすると同時に厚みの調節を行います。

もう1つのプレーナー

厚みのある材はいっぺんに両面を削って厚さの調整を行います。

製材が完了して屋内に積み込まれた材

以上の作業は外で行われて、製材が終わったものは室内に運び込まれます。そしてこれから削りの作業に入ります。

⑤削り

削りの機械
機械にセットされた材
削り出される経木の1枚1枚

この機械は1分間に凡そ80~90枚の経木を作る事が出来るそうです。この時間はひたすらに機械音が室内に響き渡るのみで独特の空気感があります。機械音は結構大きく慣れないうちはうるさく感じますが、慣れてくると作業風景も相まって非常にエモーショナルな気持ちになります。

削り出された経木の束

削り出された経木は1束にされてどんどん積み重ねられていきます。

⑥一次乾燥

脱水機

一次乾燥は脱水機を使用して一気に水分を吹き飛ばします。仕組み自体はシンプルなもので、機械の中が回転して遠心力で水分を物理的に吹き飛ばすものです。この時間はだいたい30分位でした。

⑦二次乾燥

乾燥の風景

二次乾燥は屋内で行います。この室内は日当たりが良くボイラーの温風が流れてきているのもあり、真冬でも暖かい空間です。そして暖かいだけでなく送風機も活用して空気の流れを作って乾燥を促進します。

冬は気候的に乾燥しているので乾燥が早いですが、夏場は湿度が高い分乾燥が遅いとお話しされていました。

経木の製造には風の強さと乾燥が大事で、群馬が経木の一大生産地であったのも赤城山からのからっ風があったからという理由もあるそうです。つまり昔は外で乾燥させていたって事なんでしょうね。

そして乾燥が終わった束は、部屋の奥に写っている様に錘(丸太)を乗せて歪みを少なくします。

⑧検品・製品化

乾燥が終わった束を今度は出荷用に検品と製品化を行います。この過程では汚れや破れがあった経木の汚れを取り除いたり、もしくは経木そのものを入れ替えたりしたり行います。ただ、ここで取り除かれた経木も部分的に問題がない箇所は活用するので、裁断をしたりして生かせる部分は極力生かす様にしていました。

あとがき

以上が経木が出来るまでの大まかな製造過程の紹介になりますが、多少でも経木の事を知る事の手助けになれば嬉しいです。

この時代に家庭内工業なんてって思う方もいるでしょうけれど、個人的にはだからこそそこが良いとも思うんですよね。この私が感じたエモーショナルな感覚というのは、決して間違ったものではないと思います。

次回はこの経木を使って如何に土佐町でビジネス化していくか、自分なりの野心?展望を述べて行こうかと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました