もっと良い木があったのに、写真は撮っていませんでした。
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8月20日から22日にかけて、森とみず基金が主催の研修に参加してきました。
今回の研修テーマは『育林と森林経営』というもので、講師は愛媛県で自伐林家として活動されている菊池俊一郎氏(以下菊池さん)です。
菊地さんについて手短に紹介しますと、林業×柑橘×特伐(樹上)で生計を立てており、親子三代続いている林家になります(そのうち四代目に引き継ぐとお話しされていましたが)。
菊池さんの研修自体は私は今回で4回目だったように記憶していますが、まぁ多少違ってもここでは何の問題もないのでほっときます(笑)。
さて、ここからは研修内容のお話。
研修は全部で3日間。初日は座学、2日目と3日目はフィールドワークです。
参加者は全部で15、6人だった様な気がします。殆どは土佐町や本山町の人ですが、安芸市の地域おこし協力隊から2名参加していました。
初日の座学については、過去の菊池さんの研修で聞いた事が中心でしたが(安芸市の方も含めて今回が初めてという方も数名いましたので、それは当然です)、改めて聞く話も以前はあまりよくイメージ出来なかったものが、暫く時間が経ち私も勉強し多少なりとも実践を積んで解像度が上がった為に、イメージし易いものとなっていました。
初日の研修で一番記憶に残ったものと言えば、『10年後の状態を想像して施業する(間伐)』という事です。
なんだよそれ、当たり前じゃんと言われそうですが(何なら40年50年先の事も考えるだろとも言われそうですが)、これは山の状態もそうですが、自分の体の状態の事を指すんですね。
もしこれが20代や30代なら10年後は30代や40代で全然体も動くし働き盛りになりますが、40代や50代の人間だと50代や60代になっている訳で、体の衰えが当然出てきます。そうなると30代、40代なら全然作業出来たような場所でも、50代60代になったら動きにくい場所が出てくるはずなんですよね。老化はどんな人間にも等しく訪れますから。
その時に苦労や無理な動きをしなくて済む様に、体の動くうちから、体の動かなくなる未来を予測した施業をしなさいよという話です。
将来の山や森林の状態を想像して施業するのは当り前ですが、そこに自分の体を当て嵌めるって事は想像していなかったので、この話を聞いて「あ~、なるほどな~」と思いました。
2日目と3日目はそれぞれ場所を変えてのフィールドワークです。
2日目の午前に行った場所は数年前に土佐町の地域おこし協力隊2名が間伐をした場所で、その後どうなっているかを見て、施業の確認をするというものでした。

ここを見て菊池さんは「完成された場所だね。」との一言でした。
ここでいう『完成』と言うのは、今後施業のしようがないという意味です。これだけ林冠が空いていると更なる間伐は難しく、次はもう主伐しか選択肢がないというです事になります。
ただ、それが絶対にダメという訳ではなく、例えば施業場所が山奥にあり、通うのに非常に時間がかかり搬出も困難な場所、そういった場所であればこのやり方は有りとの話でしたが、今回研修で訪れた場所は林道の直ぐ脇に在るので、通い易く搬出もし易いといった最高の条件の場所なので、その場所を向こう数十年も触る事が出来ない状況にしてしまうのは、非常に勿体ないという話でした。また、この場所は尾根に在り日照のイニシアチブがある事を考えても、やっぱり勿体ないという話でした。

午後からはその隣に移っての研修です
そこは午前の場所とは違って殆ど手が入っていない場所なので、今度はそこをどうやって経済林として育てていくかという内容になりました。
それはつまり選木の基準についてのお話になります。一例としては、価値のない二又の木を伐倒する場合は、併せて価値の在る木(伐って売ってお金になる木)も一緒に伐るという話です。
これはどういう事なのかというと、価値のない木ばっかり伐ってもお金にならないどころか、むしろ出費が嵩むだけでメリットがないので、必ず価値の在る木と抱き合わせで施業する方が良いという事です。まぁ確かにどうせやるならリターンがある方が良いですもんね。
他には作業道の入れ方や作業道の補助金についてもお話をされました。
3日目の午前と午後も同様な感じで実際に現場を見ながら、どう施業するかといった内容で研修は進みました。
あとがき
菊地さんについては、その歯に衣着せぬ物言いから好き嫌いが分かれる人だと思います。実際にこれはご自身でも仰ってました。
しかしながら、菊池さんの話は理解が出来ますし、納得できるものも多いので、毎回得るものが多いので、個人的には非常に勉強になっています。なかなか他の人が表立って言わない様な事も、話してくれるというところも凄く参考になります。
また、質問をすればどんな内容であれ、自分の考えを以て説明して下さるのも有難いです。別に一般論が悪いという訳ではなくて、私としてはそんなものよりも各々の考え、そしてその根拠になるものを知りたいってだけなので。菊地さんはその点、先述した通りにご自身の考えを自身の根拠を以て説明して下さるので、凄く有難い存在です。
協力隊が終わった後に自伐林家として独立出来るかは今のところ不明ですが、いずれは山林経営をしたいと考えているので、大変勉強になった3日間でした。
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