アイコンの写真は内子にある『伊予銀行 内子支店』です。
内子の街並みに合った近代建築様式の建物です。こういった街に合わせた建物も個人的には大好きです。
3月の下旬、週末に晴れの日が続いたので久々にツーリングへ出掛けてきました。
時間との兼ね合いで何処まで走るか幾つか候補は考えていたのですが、今回は候補の中で一番遠い愛媛県の内子町にしました。最初は同じ愛媛県内の久万高原にしようかと思っていたのですが、思っていたよりも早く着きそうだったのと(久万高原と内子は自宅からだと途中まで同じ道)、高原はもうちょっと暑い時期になった方が良いかなと思ったからです。
自宅を出てR439を西進し、いの町のファミマで休憩し、そこから一気に内子迄駆け抜けました。
この頃はちょうど桜の開花時期という事もあって仁淀川沿道の桜が綺麗で、季節を感じながらバイクを楽しむことが出来ました。
内子では最初に道の駅『内子フレッシュパークからり』に駐車をし、トイレ休憩がてら施設内の散策もしました。ここではイチゴがお手頃価格で販売されていたので、パートナーへの御土産として1パック購入。
一通り施設内の散策を終えたら、今度は内子の街並み散策に入ります。
内子は江戸時代から明治時代にかけて和紙と木蝋の生産で栄えた街で、特に木蝋生産に関しては最盛期で全国の30%程度を占める程の規模となり、その品質の高さは海外でも高評価を受けるようなものであったとの事です。
特に市街を通る八日市道路沿いでは当時の繁栄を忍ばせる商家群が多く現存しており、その町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されております。
因みに木蝋とはハゼの実から生産するもので、現在主流の石油由来の蝋燭よりも手間も時間もかかる代物です。
でも何故蝋燭がそんなに需要のある代物だったかのかというと、当時の木蝋は蝋燭としての利用だけではなく、化粧品やクレヨン等の原料としても需要があった様で、だからこれだけ財を成す事が出来た訳な様です。
そしてここから先は私のただの推測になりますが(というのも調べるのが面倒という理由)、この内子という街は後背に四国山地の険しい山々が控えており、きっと木蝋の原料となる天然のハゼの実が入手しやすい環境にあったんでしょうね。そして街のすぐそばには小田川が流れており、その小田川は肱川と合流して瀬戸内海へと流れていきます。舟運が中心の当時であればそれなりの規模が有る河川というのはそれだけで価値が有るもので、きっとこの小田川が内子の経済を支えた大動脈であったのではないかと考えます。
この建物は現在はビジターセンターとして活用されていますが、建設当時は警察署として運用されていました。
クリーム色の外観はルネサンス様式を基調としたシンメトリーの構造で、華美な装飾はないもののシンプルが故に見た目以上の重厚感を感じられる建物です。
当時の様に日本家屋が中心の市街にあっては、尚の事存在感を放っていたのではないかと容易に想像できます。
そのビジターセンターに寄り添うように建っているのが現在児童館として運用されている旧内子小学校です。フランスの建築様式を意識したこの建物は、町の有志が神戸に視察に出かけ、研究・設計されたものだそうで、建築認可申請時にはそのあまりの規模・構想の大きさに、県から一部規模縮小の勧告があったとかなんとか(笑)。
当時の内子がそれだけ教育熱心であった街であると同時に、それだけの経済力を備えていたという証左でもありますよね。
個人的には隣の警察署よりも、何か惹かれるものを感じました。
そして内子の街のハイライトといえるのが、この内子座と呼ばれる劇場ではないでしょうか。
1916年建設の当館は木造二階建瓦葺入母屋造りの立派な外観を備えた建物です。
館内は回り舞台や花道、升席を整えており、内子だけではなく周辺地域住民の重要な娯楽施設として賑わっていたであろう事が容易に想像できます。軒丸瓦(違っていたらすみません)の部分には内子の『内』の字が入っていたりと、ちょっとしたお洒落さと内子商人の見栄も感じられるものとなります。
そして内子にはもう一つの劇場がありそれは『旭館(森文旭館)』と呼ばれています。
こちらは1926年完成で、先の内子座の10年後完成した建物です。
この規模の街に劇場が2つもあるという事実が、いかに当時の内子が繁栄をしていたかを物語っていますよね。
ちなみに当館は後に映画館として運用される事になり、内子座との棲み分けが図られるようになります。
こんな感じで内子の街を歩いて散策していたらいつの間にか1時間以上が経過しており、予定出発時刻を思いっきり過ぎていたので、急いで駐車場迄戻り帰宅しました。
この場所は『梨の下』というバス停なのですが、結局バイクと桜の写真を撮っていなかったなぁ~と帰宅しながら思っていたところに発見したもので、何となくお洒落な雰囲気を感じたので撮影しました。
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