木材輸出の可能性について

協力隊活動

まえがき

先日『高知米国市場開拓協議会』なる組織が主催する『アメリカ向け製材の現状と可能性』という木材輸出セミナーへ参加してきました。

このセミナーの目的としてはタイトルにある通りに林産物のアメリカ向け輸出の現状についてや可能性についての話を、今回お招きした各分野の専門家から伺うという趣旨でした。

どうしてこのセミナーに参加しようと考た理由を幾つか箇条書きします。

①この先間違いなく日本国内での木材需要は減少の一途を辿るであろうから、国内向けの木材生産に大きな希望を持たない方が良いであろう事。

②現在原木丸太の輸出先は9割が中国となっているけれど、フレンドショアリング等西側諸国の動きを考慮すると、対中一辺倒になっている現在の輸出状況に漠然とした疑問がある事。

③上記の事に関連して対米ドル、対元の過去、現在から算出する未来のレートを仮定すると米ドルを稼ぐ方が一番利益が上がり易いのではないかと考える事。

だいたいそんな理由で、またそんな疑問を持っていた時にちょうど今回こういったセミナーがあると、最近林業でお世話になっている人から教えていただいたので参加してきた次第です。

セミナー内容について

最初に壇上に立たれたのは林野庁の貝沼氏で、氏からの話は『木材製品輸出の動向、政策と直近の動向について』という題で、日本の人口の推移や住宅着工件数や林産物の輸出の現況、政府の考え等について話をしてました。

政府としては2025年に林産物(木材+木製家具+特用林産物)の目標輸出額を718億円、2030年には1,660億円にしたいという目標を掲げている様ですが、2023年で621億円という現状を知っての数字なんでしょうけど、この根拠となるものはなんなんでしょうね。自分が会社員だった頃は何をするにも根拠となる数字や環境リサーチしたものを一緒に示せと言われたものですが(笑)。

ただまぁそこは民間が考えて何とかしてくれって政府の気持ちもわからんではないので、深く突っ込む気もありませんが。

その他にはインドへの輸出の話もされていましたが、現実的な話となるのはまだ当面先なのではないかとの話でした。

貝沼氏の後には愛媛で米国向けフェンス材の輸出を行っている『株式会社瓜守材木店』代表取締役實田氏が講演を行いました。

内容としては米国の住宅状況や日本産材の使われ方、今後の展望といった内容でした。

その中で印象に残っている話としては、米国では自然災害が起きる度に木製のフェンス材を立て直すといったところや(日本では毎回修理や新規で造る事は敬遠されがちで、故にコンクリ等災害に耐えうる素材で長期的に使用するところを)、そういったところも含めてDIYという事がしっかり根付いているという事を再確認したところですね。

続いては群馬県で事業を行っている『小井土製材株式会社』代表取締役社長小井土氏が講演されました。

内容としては米国向け杉製品の取り組みと実情というところで、群馬県の実情や取り組みも話の中に織り込みながら話をされました。

そして両氏ともに共通したところといえば、輸出に関しては事業開始当初から輸出ありきで事業していたわけではなく、国内での木材需要の変化から、事業継続の為に米国向け輸出事業に乗り出したといった背景がありました。

あとがき

今回参加した感想としては、将来性についてはある程度想定した通りの見通しだとは感じました。

アメリカの住宅事情については全然詳しくなかったのですが、アメリカ人がホームフェンス材に求める役割や価値を知る事が出来た事は収穫です。

ただ、思っていたところと全然違うなぁと感じたところもある訳で、それは規模感です。

話を聞く前は個人でも何かしらやりようがあるのかと思っていましたが、実際に話を聞いてみたら米国向けフェンス材1回に求められる輸出量は40ftコンテナで10個が最低のロッド(40ftコンテナ=約50㎥)らしいので、やっぱり米国はスケールが大きいなと感じたところではあります(笑)。

なので、もしこの事業をやるのであればとても個人じゃ手を付けられそうになさそうなので、広く地域を巻き込んでやるのが今のところはベターなのかなと感じました。

また、今回登壇した両氏ともあくまでも製材業者で、素材生産業の自分と立場が違うというところも考慮して事業をしなければばらないですね。出来るならばその辺りの事について質問をしてみたかったのですが、時間が押しまくりで質疑応答の時間をあまり取れなかった為に、今回質問をする事が出来ませんでした、そこはちょっと残念でした。

その他には日本で一般的に流通している材と、米国向けの製材品のサイズで求められている材のサイズが違っているだとか、そういった細かいところも知る事が出来たのが良かったです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました